今日は朝早くから和歌山県の那智勝浦へ行って来ました。
千葉の同業者からの依頼で、どうしても見て欲しいとのこと。
ディアパソンのグランドですが、タッチを軽くしてほしい、または反応を素早い感じにして欲しい。音をもうすこしまろやかにして欲しい。とのこと。実はいろいろな経緯があるのですが、その辺は省略します。ピアノを使っておられるHさんの悲鳴が聞こえてきそうで、数日前から気になって仕方なく、早く行って調整をいろいろしてみないとと思っても、なんせここから250㌔ほど離れたところ。すぐに行けますとは言えない距離。
朝6時に家をスタートして、高速を飛ばし4時間少しでようやく到着。首を長くして待っていただいたHさんの案内でピアノとご対面。
弾いてみて、タッチはそこそこ軽いのですが、何かが物足りない感じ。音はうすっぺらい、少し鼻にかかったような音。これは徹底して調整をしないと、と早速作業に取り掛かりました。
やったことは主にアクションや鍵盤がスムーズに動くように整調と部品の潤滑と磨き。ピアノのアクションは精密なからくりのような構造で、すべての動きが密接に関連しあっていますので、各部品が抵抗なくスムーズに動くことが最低限必要です。ただ根気のいる作業なので、各パーツをばらしてするのは時間もかかり大変です。
どうやらこのピアノも10年近く、音を合わせる調律だけで済まされ、大事な調整はほとんどされていなかったようです。
整音まで含めると朝10時から夕方の5時頃までかかりました。Hさんには満足していただいたようですが、本当はまだまだこんなもんではありません。毎年の調律の時にすこしづつでも細かい調整をして、3~4年すると、やっと思ったような音、タッチに仕上がる、といったある程度時間がかかる性格のものでもあります。